DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2024年10月 No.330

ブレクスピプラゾール

  • 117 精神神経用剤

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

追記

改訂内容

〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉
高齢認知症患者への抗精神病薬投与により死亡リスクが増加するとの海外報告がある。また、本剤の国内プラセボ対照試験において、治験薬投与との関連性は明らかではないが死亡例が本剤群のみで報告されている。本剤の投与にあたっては上記リスクを十分に考慮し、臨床試験における有効性及び安全性の結果等を熟知した上で、慎重に患者を選択すること。また、本剤投与中は患者の状態を注意深く観察すること。

本剤の投与は、アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動に関する病態、診断、治療に精通した医師又はその医師との連携のもとで行うこと。

アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患に伴う過活動又は攻撃的言動に対する本剤の有効性及び安全性は確認されていない。

患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等を行い、過活動又は攻撃的言動がアルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因したものであることを確認すること。

非薬物的介入では十分な効果が認められない場合に限り、非薬物的介入に加えて本剤を投与すること。

臨床試験では、国際老年精神医学会の定義に基づくアジテーション患者が対象とされた。国内第Ⅱ/Ⅲ相試験に組み入れられた患者の臨床症状、試験結果等を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

改訂箇所

[6.用法及び用量]

追記

改訂内容

〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉
通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回0.5mgから投与を開始した後、1週間以上の間隔をあけて増量し、1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日1回2mgに増量することができるが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。


 

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

追記

改訂内容

〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉
本剤投与による副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状、誤嚥性肺炎等)を考慮して、本剤の投与量及び投与期間は必要最小限とすること。

臨床試験における有効性及び安全性の結果を熟知した上で、本剤2mgへの増量の要否を慎重に判断すること。[臨床試験において、本剤1mg群と2mg群のいずれもプラセボ群に対する優越性が検証された。本剤2mg群では本剤1mg群と比べ錐体外路症状の発現割合は高くなる傾向が示されている。]

本剤2mgへの増量後はより頻回に患者の症状を観察し、副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状、誤嚥性肺炎等)の発現に注意すること。副作用が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

投与開始10週間後までを目途に本剤投与により効果が認められない場合、本剤の投与を中止し治療法を再考すること。投与開始10週間後までの患者の状態に基づき投与継続を判断した場合であっても、副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状、誤嚥性肺炎等)のリスクを考慮して、本剤を漫然と投与せず投与期間は必要最小限とすること。なお、本剤の24週間を超える継続投与の安全性は確立していない。

本剤と中程度以上のCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び/又は中程度以上のCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合等には、本剤の血漿中濃度が上昇することから、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、以下の表を参考に用法及び用量の調節を行うこと。
(参考)

  111mgに相当する用法及び用量 112mgに相当する用法及び用量
強いCYP2D6阻害剤又は強いCYP3A阻害剤のいずれかを併用 1回0.5mgを
1日1回
1回1mgを
1日1回
中程度のCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用
CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者
強いCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用 1回0.5mgを
2日に1回
1回0.5mgを
1日1回
強いCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用
中程度のCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用
CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が中程度以上のCYP3A阻害剤を併用

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

追記

改訂内容

〈普通錠〉
0.5mg
の投与に際してはレキサルティOD錠0.5mgを使用すること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉
認知症患者では嚥下機能が低下している場合があり、本剤の投与により嚥下障害が発現又は悪化し誤嚥性肺炎に至るおそれがある。本剤投与中は患者の状態を注意深く観察し、嚥下障害の症状が現れた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

認知症患者は転倒及び骨折のリスクが高いことが知られている。また、本剤を含む抗精神病薬により、傾眠、起立性低血圧、めまい、ふらつきが起こることがあり、転倒により骨折又は外傷に至るおそれがあるため、十分に注意すること。

改訂箇所

[11.2その他の副作用]

一部改訂

改訂内容

発現部位 副 作 用
精神神経系 不眠、頭痛、傾眠、激越、浮動性めまい、鎮静、落ち着きのなさ、不安、 悪夢、回転性めまい、体位性めまい、自殺念慮、精神病性障害、歯ぎしり、異常な夢、チック、無為、平衡障害、敵意、錯感覚、妄想、幻覚、  幻聴、耳鳴、睡眠障害、勃起不全、パニック障害、抜毛癖、頭部動揺、衝動行為、頭部不快感、易刺激性、リビドー減退、気力低下、躁病、感情不安定、無感情、意識変容状態、知覚変容発作、離人感、注意力障害、 感覚鈍麻、失神、下肢静止不能症候群、起立障害、構音障害
循環器 高血圧、心電図QT延長、起立性低血圧、徐脈、頻脈、不整脈、動悸、心室性期外収縮、第一度房室ブロック、右脚ブロック、心電図QRS群延長、 心電図異常T波、末梢循環不良、低血圧
消化器 悪心、便秘、食欲亢進、食欲不振、口内乾燥、下痢、嘔吐、消化不良、腹痛、腹部不快感、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、胃炎、排便回数増加、 便潜血、歯肉痛、歯肉腫脹、口唇乾燥、裂肛、胃腸障害、口腔内不快感、 唾液変性、口渇、過食、過小食
血 液 白血球増加症、貧血、APTT延長、血小板減少、血小板増加症、グリコヘモグロビン増加、ヘモグロビン低下、好中球減少症、好中球増多、総蛋白減少、プロトロンビン時間延長
泌尿器 尿潜血、尿閉、頻尿、蛋白尿、尿失禁、緊張性膀胱、排尿異常、尿中ケトン体陽性、血中尿素増加
過敏症 発疹、そう痒症、紅斑、湿疹、薬疹
呼吸器 肺炎、誤嚥性肺炎、気管支炎、咳嗽、鼻出血、息詰まり感、呼吸困難、口腔咽頭痛、副鼻腔うっ血、上咽頭炎
筋骨格系 筋肉痛、背部痛、顎痛、筋攣縮、筋緊張、頚部痛、四肢痛、関節硬直、筋力低下、姿勢異常、大腿骨骨折、脊柱変形
その他 体重増加、歩行障害、疲労、倦怠感、体重減少、ほてり、無力症、疼痛、 不快感、灼熱感、性器出血、非心臓性胸痛、カンジダ症、真菌感染、悪寒、異常感、熱感、浮腫、異物感、脱水、活動性低下、転倒、体温調節障害

改訂箇所

[15.1臨床使用に基づく情報]

一部改訂

改訂内容

〈効能共通〉
外国で実施された高齢認知症患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。

<参考> 効能又は効果、用法及び用量追加承認に伴う改訂

戻る