DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2025年8月 No.338

インコボツリヌストキシンA

  • 122 骨格筋弛緩剤
  • 129 その他の末梢神経系用薬

改訂箇所

[1.警告]

一部改訂

改訂内容

本剤は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素製剤であり、有効成分としてインコボツリヌストキシンAを含有している。本剤の使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、上肢痙縮下肢痙縮、及び慢性流涎以外には使用しないこと。

A型ボツリヌス毒素を緊張筋又は唾液腺以外の部位に投与すると、一時的に周辺筋肉群の筋力低下等が発現することがある本剤は、講習を受け、本剤についての十分な知識と、原疾患及び本剤の施注手技に必要な十分な知識・経験のある医師のもとで投与すること。

改訂箇所

[2.禁忌]

一部改訂

改訂内容

〈効能共通〉
全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]

〈上肢痙縮、下肢痙縮〉
筋委縮性側索硬化症患者[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

追記

改訂内容

〈慢性流涎〉
神経・筋疾患が原因となる慢性の流涎を有する患者に使用すること。

臨床試験に組み入れられた患者の原疾患、重症度等の背景及び試験結果を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

慢性流涎の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。

改訂箇所

[6.用法及び用量]

追記

改訂内容

〈慢性流涎〉
通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして合計100単位を分割して両側の耳下腺(片側につき30単位)及び顎下腺(片側につき20単位)に注射するが、患者の状態により適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。なお、患者の状態により投与間隔は14週まで短縮できる。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

一部改訂

改訂内容

〈効能共通〉
複数の適応に本剤を同時投与する場合には、それぞれの効能又は効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守すること。
・上肢痙縮及び下肢痙縮に対する同時投与では、合計で800単位を上限とし、患者の状態に応じて徐々に増量する等、慎重に投与すること。海外臨床試験において、上肢痙縮及び下肢痙縮に400単位から200単位ずつ増量し、合計800単位までを同時に投与した経験はあるが、国内臨床試験では、上肢痙縮及び下肢痙縮に本剤を同時投与した経験はない。
・上肢痙縮又は下肢痙縮と、慢性流涎に対して本剤を同時投与した経験はないため、同時投与は避けること。






 

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

追記

改訂内容

〈慢性流涎〉
本剤と他のA型及びB型ボツリヌス毒素製剤の同時投与は避けること。本剤と他のA型及びB型ボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はない。

投与に際して、解剖学的ランドマーク又は超音波検査を用いて注意深く唾液腺(耳下腺、顎下腺)を同定すること。臨床成績等から超音波検査での同定を推奨する。


図 慢性流涎の投与対象唾液腺

投与対象唾液腺ごとの適切な投与量に留意すること。臨床成績等から、以下の投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与対象唾液腺 投与量注5)(単位) 投与部位数(部位)
耳下腺 右側 30 1
左側 30 1
顎下腺 右側 20 1
左側 20 1
注5)施注用注射針は27-30G、12.5-13mm注射針が推奨されている。

患者の状態に応じて下表を参考に、本剤を減量することができる。
投与対象唾液腺 投与量注5)(単位) 投与部位数(部位)
耳下腺 右側 22.5 1
左側 22.5 1
顎下腺 右側 15 1
左側 15 1
注5)施注用注射針は27-30G、12.5-13mm注射針が推奨されている。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

一部改訂

改訂内容

〈効能共通〉
本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用すること。
・本剤の投与は対症療法であり、その効果は上肢痙縮及び下肢痙縮では通常12-16週、慢性流涎では通常16週で消失し、投与を繰り返す必要がある。
・本剤投与により、投与部位以外のに対する影響と考えられる会話困難、嚥下障害及び誤嚥性肺炎等があらわれることがある。本剤投与開始から16週までに会話困難、嚥下障害及び呼吸困難等の体調の変化が生じた場合、直ちに医師の診察を受けること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

〈慢性流涎〉
本剤の投与により口内乾燥があらわれることがあるため、患者又は介護者に対し本剤投与中は口腔内を清潔に保つように指導すること。

慢性流涎患者では嚥下機能が低下していることから、本剤投与後は嚥下障害及び誤嚥性肺炎の発現に留意すること。本剤投与後にこれらの事象が発現した際には、本剤の効果が消失すると想定されるまでの期間は再投与を控えるとともに、再投与の可否は患者の状態を踏まえて慎重に検討すること。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

一部改訂

改訂内容

〈上肢痙縮、下肢痙縮〉
神経筋障害を有する患者(全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者又は筋萎縮性側索硬化症患者を除く):
治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用すること。本剤の薬理作用のため過度の筋力低下に至り、病状を悪化させるおそれがある。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

追記

改訂内容

〈慢性流涎〉
神経筋障害を有する患者(全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者を除く):
治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用すること。

改訂箇所

[10.2併用注意]

追記

改訂内容

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
唾液分泌抑制作用を有する薬剤(抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等)) 慢性流涎患者においては、過剰な唾液分泌抑制があらわれるおそれがあり、口内乾燥、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はともに唾液分泌抑制作用を有するため作用が増強されるおそれがある。

改訂箇所

[11.1重大な副作用]

追記

改訂内容

嚥下障害:
嚥下障害、誤嚥性肺炎があらわれることがある。

改訂箇所

[11.2その他の副作用]

一部改訂

改訂内容

発現部位 副 作 用
消化器 口内乾燥、便秘、口渇、唾液変性、味覚障害、悪心
精神神経系 麻痺、錯感覚、会話障害、頭痛、感覚鈍麻、血管迷走神経反応(一過性症候性低血圧、耳鳴、失神)
注射部位 皮下出血、注射部位内出血、筋肉内出血、疼痛、炎症、知覚異常、注射部位知覚低下、圧痛、注射部位腫脹、注射部位浮腫、紅斑、そう痒、感染、血腫、出血、挫傷

改訂箇所

[13.過量投与]

一部改訂

改訂内容

[症状]
A型ボツリヌス毒素の過量投与により、投与部位以外のに対する様々な症状を伴う強い神経筋麻痺が生じることがある。過量投与の症状は、全身の筋力低下、眼瞼下垂、複視、呼吸困難、発語困難、言語障害、呼吸筋麻痺又は嚥下障害等であり、誤嚥性肺炎の原因となることもある。

改訂箇所

[14.適用上の注意]

一部改訂

改訂内容

[薬剤調製時の注意]
〈効能共通〉

溶解液注入後、バイアルを丁寧に円を描くように振り混ぜ、転倒させて内容物を溶解液と混和する。激しい撹拌を避けること。

改訂箇所

[14.適用上の注意]

追記

改訂内容

〈慢性流涎〉
本剤100単位を2.0mLの日局生理食塩液を用いて溶解し、5.0単位/0.1mL溶液を調製する。

[薬剤投与時の注意]
〈慢性流涎〉

唾液腺(耳下腺及び顎下腺)にのみ投与すること。

<参考> 効能又は効果、用法及び用量追加承認に伴う改訂

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