DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2022年11月 No.312

精製下垂体性性腺刺激ホルモン

  • 241 脳下垂体ホルモン剤

改訂箇所

[1.警告]

一部改訂

改訂内容

本剤を用いた不妊治療により、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。

改訂箇所

[2.禁忌]

追記

改訂内容

活動性の血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]

本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

一部改訂

改訂内容

〈間脳性(視床下部性)無月経・下垂体性無月経の排卵誘発〉
[患者の選択]
本剤を用いた一般不妊治療の対象は、不妊症患者のうち間脳又は下垂体前葉の機能・器質的障害に由来する性腺刺激ホルモン低分泌無月経患者であるので次の点に注意すること。

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

追記

改訂内容

〈生殖補助医療における調節卵巣刺激〉
本剤の投与の適否は、患者及びパートナーの検査を十分に行った上で判断すること。原発性卵巣不全が認められる場合や妊娠不能な性器奇形又は妊娠に不適切な子宮筋腫の合併等の妊娠に不適当な場合には本剤を投与しないこと。また、甲状腺機能低下、副腎機能低下、高プロラクチン血症及び下垂体又は視床下部腫瘍等が認められた場合、当該疾患の治療を優先すること。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

新設

改訂内容

〈生殖補助医療における調節卵巣刺激〉
本剤の投与開始時期は、組み合わせて使用する薬剤に応じて適切に判断すること。

患者により卵巣の反応性は異なるので、本剤の開始用量は患者特性を考慮して決定(減量又は増量)すること。本剤の用量調節を行う場合には、超音波検査や血清エストラジオール濃度の測定により確認した患者の卵巣反応に応じて行うこと。用量調節は投与開始5日後から可能であり、増量幅は150単位以下とすること。

超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定により十分な卵胞の発育が確認されるまで本剤の投与を継続すること。本剤の最終投与後、最終的な卵胞成熟を誘起したうえで、採卵すること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

一部改訂

改訂内容

本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、以下のモニタリングを実施すること。
・一般不妊治療においては、本剤投与中及び排卵誘発に使用する薬剤(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)等)投与前の超音波検査による卵巣反応
生殖補助医療においては、本剤投与中及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤(hCG等)投与前の超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定による卵巣反応
・患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)
・急激な体重増加
・超音波検査等による卵巣腫大
なお、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子として、多のう胞性卵巣症候群、若年、やせ、血清抗ミュラー管ホルモン高値、卵巣過剰刺激症候群の既往、血清エストラジオール高値、発育卵胞数の高値等が知られているので、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子を有する患者への対応は慎重に行うこと。
卵巣過剰刺激症候群の候が認められた場合には、本剤の投与中断などを行うとともに、少なくとも4日間は性交を控えるように患者に指導すること。また、卵胞の最終成熟又は排卵誘発の延期や中止等の要否を含め実施中の不妊治療の継続の可否を慎重に判断すること。卵巣過剰刺激症候群は、本剤投与中だけではなく、本剤投与後に発現し、軽症又は中等症であっても急速に進行して重症化することがあるため、本剤の最終投与後も少なくとも2週間の経過観察を行い、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。なお、卵巣過剰刺激症候群は、妊娠によって重症化し、長期化することがあることにも留意すること。

患者に対しては、あらかじめ以下の点を説明すること。
・卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。
・一般不妊治療においては、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠の可能性があること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

在宅自己注射(皮下注射)を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
1.自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。
2.
使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。
3.全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
4.在宅自己注射を行う前に、本剤の取扱説明書を必ず読むよう指導すること。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

追記

改訂内容

本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者:
本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。

改訂箇所

[10.2併用注意]

一部改訂

改訂内容

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
排卵誘発及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤等) 卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。 卵巣への過剰刺激に伴う過剰なエストロゲン分泌により、血管透過性が亢進される。

改訂箇所

[11.1重大な副作用]

一部改訂

改訂内容

卵巣過剰刺激症候群:
本剤を用いた不妊治療により、卵巣腫大、下腹部痛、下腹部緊迫感、腹水胸水、呼吸困難を伴う卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあり、卵巣破裂、卵巣茎捻転、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症、肺水腫、腎不全等が認められることもある。本剤投与後に卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、重症度に応じて、本剤の投与中止、卵胞の最終成熟又は排卵誘発の延期や中止等の要否を含め、実施中の不妊治療の継続の可否を判断すること。また、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。重度の卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、入院させて適切な処置を行うこと。

改訂箇所

[14.適用上の注意]

追記

改訂内容

[薬剤調製時の注意]
添付溶解液の使用にあたっては本剤75単位品は1管1mL、本剤150単位品は1管2mLに溶解して使用すること。

<参考> 効能又は効果、用法及び用量追加承認に伴う改訂

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