DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2022年9月 No.311

ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(富士製薬工業、持田製薬製品)

  • 241 脳下垂体ホルモン剤

改訂箇所

[1.警告]

一部改訂

改訂内容

本剤を用いた不妊治療により、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。

改訂箇所

[2.禁忌]

追記

改訂内容

〈無排卵症(不妊症)、生殖補助医療における黄体補充、生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化、一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化〉
活動性の血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

新設

改訂内容

〈無排卵症(不妊症)、生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化、一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化〉
本剤の投与にあたっては、患者及びパートナーの検査を十分に行い、本剤の投与の適否を判断すること。特に、甲状腺機能低下、副腎機能低下、高プロラクチン血症及び下垂体又は視床下部腫瘍等が認められた場合、当該疾患の治療を優先すること。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

新設

改訂内容

〈生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化、一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化〉
超音波検査や必要に応じた血清エストラジオール濃度の測定により十分な卵胞の発育を確認した上で投与すること。

患者の状態等から、卵巣過剰刺激症候群の発現リスクが低く、5,000単位では十分な効果が得られないと判断される場合にのみ、10,000単位の投与を考慮すること。

〈生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化〉
生殖補助医療での使用にあたっては、採卵の34~36時間前を目安に投与すること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

〈無排卵症(不妊症)、生殖補助医療における黄体補充、生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化、一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化
本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

一部改訂

改訂内容

本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、以下のモニタリングを実施すること。
・一般不妊治療においては、排卵誘発に使用する薬剤投与中及び本剤投与前の超音波検査による卵巣反応
・生殖補助医療においては、調節卵巣刺激に使用する薬剤投与中及び本剤投与前の超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定による卵巣反応

・患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)
・急激な体重増加
・超音波検査等による卵巣腫大
なお、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子として、多嚢胞性卵巣症候群、若年、やせ、血清抗ミュラー管ホルモン高値、卵巣過剰刺激症候群の既往、血清エストラジオール高値、発育卵胞数の高値等が知られているので、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子を有する患者への対応は慎重に行うこと。
卵巣過剰刺激症候群の徴候が認められた場合には、少なくとも4日間は性交を控えるように患者に指導すること。また、本剤の投与又は追加投与の延期や中止の要否を含め実施中の不妊治療の継続の可否を慎重に判断すること。卵巣過剰刺激症候群は、軽症又は中等症であっても急速に進行して重症化することがあるため、本剤投与後は少なくとも2週間の経過観察を行い、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。なお、卵巣過剰刺激症候群は、妊娠によって重症化し、長期化することがあることにも留意すること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

一部改訂

改訂内容

患者に対しては、あらかじめ以下の点を説明すること。
・卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。
一般不妊治療においては、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠の可能性があること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

〈無排卵症(不妊症)、一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化〉
排卵誘発を受けた患者では、自然妊娠と比較して多胎妊娠・出産(大部分は双生児)の頻度が高くなることから、本剤投与前に、超音波検査の結果から多胎妊娠が予想される場合には、治療の中止を考慮すること。

〈生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化、一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化〉
在宅自己注射(皮下注射)を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
1.自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。
2.使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。
3.全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
4.在宅自己注射を行う前に、本剤の取扱説明書を必ず読むよう指導すること。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

追記

改訂内容

本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者:
本剤を用いた不妊治療を女性に行う場合、本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。

改訂箇所

[10.2併用注意]

一部改訂

改訂内容

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
排卵誘発及び調節卵巣刺激に使用する薬剤(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン製剤、ヒト卵胞刺激ホルモン製剤、遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤等) 卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。 卵巣への過剰刺激に伴う過剰なエストロゲン分泌により、血管透過性が亢進される。

改訂箇所

[11.1重大な副作用]

一部改訂

改訂内容

卵巣過剰刺激症候群:
本剤を用いた不妊治療により、卵巣腫大、下腹部痛、下腹部緊迫感、腹水胸水、呼吸困難を伴う卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあり、卵巣破裂、卵巣茎捻転、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症、肺水腫、腎不全等が認められることもある。本剤投与後に卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、重症度に応じて実施中の不妊治療の継続の可否を判断するとともに、本剤の追加投与はしないこと。また、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。重度の卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、入院させて適切な処置を行うこと。

改訂箇所

[14.適用上の注意]

一部改訂

改訂内容

[薬剤投与時の注意]
本剤は静脈内には投与しないこと。

<参考> 効能又は効果、用法及び用量追加承認に伴う改訂

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