DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2022年8月 No.310

バリシチニブ

  • 399 他に分類されない代謝性医薬品

改訂箇所

[2.禁忌]

一部改訂

改訂内容

〈関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状が悪化するおそれがある。]
重度の腎機能障害を有する患者
リンパ球数が500/㎣未満の患者
ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

追記

改訂内容

〈円形脱毛症〉
本剤投与開始時に、頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない患者に投与すること。

円形脱毛症以外の脱毛症に対する適応はない。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

一部改訂

改訂内容

〈関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
本剤4mg1日1回投与で治療効果が認められた際には、本剤2mg1日1回投与への減量を検討すること。

中等度の腎機能障害のある患者には、2mgを1日1回経口投与する。

〈アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想されるので、本剤と免疫調整生物製剤、他の経口JAK阻害剤、シクロスポリン等の強力な免疫抑制剤との併用はしないこと。本剤とこれらの薬剤との併用経験はない。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

追記

改訂内容

〈円形脱毛症〉
本剤による治療反応は、通常投与開始から36週までには得られる。36週までに治療反応が得られない場合は、投与中止を考慮すること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

〈円形脱毛症〉
本剤が疾病を完治させる薬剤でないことを患者に対して説明し、患者が理解したことを確認したうえで投与すること。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

一部改訂

改訂内容

感染症(関節リウマチアトピー性皮膚炎又は円形脱毛症の場合は重篤な感染症、SARS-CoV-2による肺炎の場合はSARS-CoV-2による肺炎を除く)の患者又は感染症が疑われる患者

リンパ球減少(関節リウマチアトピー性皮膚炎又は円形脱毛症の場合はリンパ球数500/㎣未満、SARS-CoV-2による肺炎の場合はリンパ球数200/㎣未満を除く)のある患者:
リンパ球減少が更に悪化するおそれがある。

ヘモグロビン値減少(関節リウマチアトピー性皮膚炎又は円形脱毛症の場合はヘモグロビン値8g/dL未満を除く)のある患者:
ヘモグロビン減少が更に悪化するおそれがある。

改訂箇所

[9.2腎機能障害患者]

一部改訂

改訂内容

〈関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
重度の腎機能障害患者:
投与しないこと。

改訂箇所

[11.1重大な副作用]

一部改訂

改訂内容

好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少:
好中球数:本剤投与開始後、継続して500~1000/㎣である場合は、1000/㎣を超えるまでは本剤の投与を中断すること。
リンパ球数:本剤投与開始後、関節リウマチアトピー性皮膚炎又は円形脱毛症患者では500/㎣未満、SARS-CoV-2による肺炎患者では200/㎣未満になった場合には、本剤の投与を中断すること。
ヘモグロビン値:関節リウマチアトピー性皮膚炎又は円形脱毛症患者において、本剤投与開始後、8g/dL未満になった場合には、正常化するまで本剤の投与を中断すること。

改訂箇所

[15.1臨床使用に基づく情報]

一部改訂

改訂内容

関節リウマチ患者を対象とした本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験4試験及び長期試験の併合解析において、100人・年あたりの重篤な感染症の発現率(95%信頼区間)は、本剤2mg投与群で3.55(2.07,5.68)、4mg投与群で5.77(3.77,8.45)であった。アトピー性皮膚炎患者を対象とした本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験6試験の16週時以降の長期試験を含む併合解析において、各試験の被験者数で調整した100人・年あたりの重篤な感染症の調整済み発現率(発現率:95%信頼区間)は、本剤2mg投与群で1.21(1.48:0.6,2.9)、4mg群で3.1(3.0:1.8,4.8)であった。円形脱毛症患者を対象とした本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験2試験の36週時以降のデータを含む併合解析において、100人・年あたりの重篤な感染症の発現率(95%信頼区間)は、本剤2mg投与群で0.5(0.1,1.7)、4mg群で0.7(0.2,1.6) であった。

関節リウマチ患者を対象とした本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験4試験の24週時以降の長期試験を含む併合解析において、100人・年あたりの悪性腫瘍の発現率は、本剤2mg投与群で0.41(95%信頼区間:0.05,1.47、発現割合:0.4%、2/479例)、 4mg投与群で0.87(95%信頼区間:0.24,2.22、発現割合:0.8%、4/479例)であった。
関節リウマチ患者を対象とした長期試験を含む臨床試験9試験の併合解析において、本剤投与群での年齢性別で調整して算出した悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)SIR(標準化罹患比)は0.96(95%信頼区間:0.67,1.35)であった。既存の抗リウマチ薬投与下の関節リウマチ患者で報告されている悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)SIR 1.05 (95%信頼区間:1.01,1.09)と比較し、大きな違い認められなかった。
また投与期間別の発現状況は表の通りであった。
表1)投与期間別の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率(関節リウマチ患者を対象とした試験の併合解析)

投与期間
(評価対象例数・曝露期間)
%(例数) 発現率(/100人・年)
(95%信頼区間)
全体(3492例・5233.3人・年) 1.1%(38) 0.73(0.51,1.00)
0~24週(3492例・1530.7人・年) 0.2%(7) 0.46(0.18,0.94)
24~48週(3114例・1289.2人・年) 0.3%(10) 0.78(0.37,1.43)
48~72週(2583例・1051.9人・年) 0.5%(12) 1.14(0.59,1.99)
72~96週(1940例・716.0人・年) 0.3%(5) 0.70(0.23,1.63)
96週~(1167例・645.4人・年) 0.3%(4) 0.62(0.17,1.59)
アトピー性皮膚炎患者を対象とした本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験6試験の16週時以降の長期試験を含む併合解析において、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現は認められなかった。また、各試験の被験者数で調整した100人・年あたりの非黒色腫皮膚癌の調整済み発現率は、本剤2mg投与群で0.14(発現率:0.18、95%信頼区間:0.0,1.0、調整済み発現割合:0.1%、1/584例)、4mg投与群で0(0/497例)であった。
アトピー性皮膚炎患者を対象とした長期試験を含む臨床試験8試験の併合解析において、本剤群での100人・年あたり悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、0.21(95%信頼区間:0.1,0.5、発現割合:0.2%、6/2562例)であり、非黒色腫皮膚癌の発現率は、0.24(95%信頼区間:0.1,0.5、発現割合:0.3%、7/2562例)であった。

改訂箇所

[15.1臨床使用に基づく情報]

一部改訂

改訂内容

円形脱毛症患者を対象とした本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験2試験の36週時以降のデータを含む併合解析において、100人・年あたりの悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、本剤4mg投与群で0.3(95%信頼区間:0.0,1.0、発現割合:0.4%、2/540例)であり、本剤2mg投与群で発現は認められなかった。非黒色腫皮膚癌の発現率は、本剤2mg投与群で0.2(95%信頼区間:0.0,1.3、発現割合:0.3%、1/365例)であり、本剤4mg投与群で発現は認められなかった。
円形脱毛症患者を対象とした臨床試験2試験の併合解析において、本剤投与群での100人・年あたりの悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、0.2(95%信頼区間:0.0,0.5、発現割合:0.2%、3/1244例)であり、非黒色腫皮膚癌の発現率は、0.1(95%信頼区間:0.0,0.4、発現割合:0.2%、2/1244例)であった。

<参考> 効能又は効果、用法及び用量追加承認に伴う改訂

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