DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2023年9月 No.320

ルキソリチニブリン酸塩

  • 429 その他の腫瘍用薬

改訂箇所

[1.警告]

一部改訂

改訂内容

本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

追記

改訂内容

〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
臨床試験に組み入れられた患者の移植片対宿主病の重症度等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

改訂箇所

[6.用法及び用量]

追記

改訂内容

〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
通常、成人及び12歳以上の小児にはルキソリチニブとして1回10mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

追記

改訂内容

〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
副作用により本剤を休薬、減量する場合は、以下の基準を考慮すること。以下の基準の1段階減量として、1回10mg1日2回で投与している場合は1回5mg1日2回に、1回5mg1日2回で投与している場合は1回5mg1日1回に減量する。1回5mg1日1回で投与している場合は、本剤を休薬すること。

血小板数
1.5万/㎣以上2万/㎣未満 1段階減量する。減量後7日以内に2万/㎣以上に回復した場合は、減量前の用量を再開してもよい。
減量後7日を過ぎても2万/㎣以上に回復しない場合は、1段階減量を維持する。
1.5万/㎣未満 2万/㎣以上になるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
好中球数
500/㎣以上750/㎣未満 1段階減量する。1,000/㎣超に回復した場合は、減量前の用量を再開する。
500/㎣未満 500/㎣を超えるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。1,000/㎣超に回復した場合は、休薬前の用量注)を再開してもよい。
総ビリルビン上昇:移植片対宿主病に伴う肝病変を有さない場合
3×ULN超、5×ULN以下 3×ULN以下になるまで、1段階減量する。
5×ULN超、10×ULN以下 3×ULN以下になるまで最長14日間休薬する。14日以内に3×ULN以下に回復した場合は、休薬前の用量注)で投与を再開してもよい。14日を過ぎても3×ULN以下に回復しない場合は、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
10×ULN超 3×ULN以下になるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
総ビリルビン上昇:移植片対宿主病に伴う肝病変を有する場合
3×ULN超 3×ULN以下になるまで、1段階減量を継続する。
注)休薬前に当該事象により既に1段階減量している場合は、減量前の用量とする。
ULN:基準値上限

治療効果が認められた場合は、本剤の漸減を検討すること。本剤の漸減は、ステロイドの投与中止後に、2カ月ごとに1段階を目安とし、副作用により減量する場合の1段階減量と同じ減量幅とすること。なお、本剤の漸減中に症状が再発した場合は、本剤の漸増等の適切な対応を行うこと。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

追記

改訂内容

移植片対宿主病に伴う肝病変総ビリルビン値が正常値上限の3倍以上を有する患者:
より頻回に血球数を測定し、投与量を調節することが望ましい。

改訂箇所

[9.7小児等]

追記

改訂内容

〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

改訂箇所

[11.2その他の副作用]

一部改訂

改訂内容

発現部位 副 作 用
感染症 肺炎、敗血症、サイトメガロウイルス感染、BKウイルス感染
胃腸障害 下痢、悪心、腹痛、嘔吐、便秘、腹部膨満、口内炎、鼓腸、口内乾燥、口腔内潰瘍形成、消化不良、上腹部痛、リパーゼ上昇、アミラーゼ上昇
筋骨格系障害 筋痙縮、四肢痛、筋肉痛、関節痛、骨痛、背部痛、血中CPK上昇
腎及び尿路障害 血中尿素増加、血中クレアチニン上昇

改訂箇所

[15.1臨床使用に基づく情報]

新設

改訂内容

心血管系事象のリスク因子を有する関節リウマチ患者を対象としたJAK阻害剤トファシチニブクエン酸塩の海外臨床試験の結果、主要評価項目である主要な心血管系事象(Major Adverse Cardiovascular Events:MACE)及び悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率について、TNF阻害剤群に対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ1.33(0.91,1.94)及び1.48(1.04,2.09)であり、95%信頼区間上限は予め設定していた非劣性マージン1.8を超え、TNF阻害剤群に対する非劣性が検証されなかったことが報告されている。また、本剤でも、国内市販後の自発報告において、心血管系事象の発現が認められている。

<参考> 効能又は効果、用法及び用量追加承認に伴う改訂

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