DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2023年7月 No.318

キザルチニブ塩酸塩

  • 429 その他の腫瘍用薬

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

一部改訂

改訂内容

〈効能共通〉
十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、FLT3-ITD変異陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html

改訂箇所

[5.効能又は効果に関連する注意]

追記

改訂内容

〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉
強力な寛解導入療法の適応とならない未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。

改訂箇所

[6.用法及び用量]

追記

改訂内容

〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉
通常、成人には寛解導入療法としてシタラビン及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤との併用において、地固め療法としてシタラビンとの併用において、キザルチニブとして1日1回35.4mgを2週間経口投与し、寛解導入療法及び地固め療法の投与サイクル数に応じて投与を繰り返す。その後、維持療法として、キザルチニブとして1日1回26.5mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回53mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

追記

改訂内容

〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉
本剤及び併用するシタラビン及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の投与時期等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で投与すること。また、シタラビン及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤投与完了後に本剤を投与すること。

維持療法として、本剤を3年を超えて投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。

維持療法期に本剤の投与開始から2週間後において、QTcF値が450msecを超えた場合には、本剤の増量は行わないこと。

強いCYP3A阻害剤と併用する場合には、次の減量基準を参考に、本剤を減量すること。強いCYP3A阻害剤との併用終了後には、本剤を減量前の投与量に戻すこと。

強いCYP3A阻害剤との併用時の本剤の減量基準

併用しない時の用量 53mg 35.4mg
26.5mg
併用時の用量 26.5mgに減量 17.7mgに減量


 

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

追記

改訂内容

本剤投与中に副作用がみられた場合は、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。また、輸血なしで血小板数50,000/㎣超100,000/㎣未満又は好中球数500/㎣超1,000/㎣未満で維持療法期に移行した患者では、維持療法を8週間実施した段階で本剤を1用量レベル下げることを検討すること。
本剤の減量段階

段階 強いCYP3A阻害剤を
併用しない時
強いCYP3A阻害剤
併用時
用量レベル1 53mg 26.5mg
用量レベル2 35.4mg 17.7mg
用量レベル3 26.5mg 休薬
用量レベル4 休薬
本剤の休薬、減量又は中止基準の目安
副作用 基準 処置
QT間隔延長 480msecを超え、
500msec以下の延長
1用量レベル下げる。QTcF値が450msec未満に回復後は次のサイクルで副作用発現時の用量で再開できる。
500msecを超える延長 ・休薬する。QTcF値が450msec未満に回復後は、1用量レベル下げて投与を再開できる。
・寛解導入療法期又は地固め療法期にQTcF値が500msecを超えた場合は、維持療法期に増量しないこと。
QTcF値が再び500msecを超えた場合 投与を中止する。
心室性不整脈等の生命を脅かす不整脈の症状/兆候を伴うQT間隔延長 投与を中止する。
非血液系の副作用
(QT間隔延長を除く)
グレード3以上 ・休薬する。
・4週間以内にグレード1以下に回復した場合は、副作用発現時の用量で投与を再開できる。
・4週間以内にグレード2に回復した場合は、1用量レベル下げて投与を再開できる。
・グレード3以上の副作用が4週間を超えて継続する場合は、投与を中止する。
骨髄抑制(維持療法期) 維持療法期移行時に血小板数100,000/㎣以上又は好中球数1,000/㎣以上の患者が、血小板数100,000/㎣未満又は好中球数1,000/㎣未満となった場合 1用量レベル下げる。
グレードはNCI-CTCAE v4.03に準じる。

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

一部改訂

改訂内容

〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉
強いCYP3A阻害剤と併用する場合には、減量基準を参考に、本剤を1用量レベル下げること。強いCYP3A阻害剤との併用終了後には、本剤を減量前の投与量に戻すこと。





 

改訂箇所

[7.用法及び用量に関連する注意]

一部改訂

改訂内容

本剤投与中に副作用がみられた場合は、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。
本剤の減量段階

段階 用量
用量レベル1 53mg
用量レベル2 26.5mg
用量レベル3 17.7mg
用量レベル4 休薬
本剤の休薬、減量又は中止基準の目安
副作用 基準 処置
QT間隔延長 480msecを超え、
500msec以下の延長
・53mg又は26.5mgを投与していた場合は、1用量レベル下げる。QTcF値が450msec以下に回復後は、副作用発現時の用量で再開できる。
・17.7mgを投与していた場合は、休薬する。2週間の休薬後もQTcF値が450msec以下に回復しない場合は、投与を中止する。
500msecを超える延長 ・休薬する。QTcF値が450msec以下に回復後は、1用量レベル下げて投与を再開できる。なお、17.7mgを投与していた場合は、回復後に同用量で再開できる。
・2週間の休薬後もQTcF値が450msec以下に回復しない場合は、投与を中止する。
心室性不整脈等の生命を脅かす不整脈の症状/兆候を伴うQT間隔延長 投与を中止する。
非血液系の副作用
(QT間隔延長を除く)
グレード3以上 ・休薬する。グレード1以下に回復後は、1用量レベル下げて投与を再開できる。
・グレード2以上の副作用が2週間を超えて継続する場合は、投与を中止する。
骨髄抑制 血小板数:
100,000/㎣未満
かつ
好中球数:
1,000/㎣未満
・1用量レベル下げる又は休薬する。回復後は、副作用発現時の用量で再開できる。
・2週間を超えて継続する場合は、投与を中止する。
グレードはNCI-CTCAE v4.03に準じる。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

一部改訂

改訂内容

QT間隔延長があらわれることがあるので、次の基準を参考に心電図検査を行うこと。また、本剤投与開始前及び投与中は定期的に電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、必要に応じて電解質補正(カリウム、マグネシウム等)を行うこと。
心電図検査の実施時期基準

未治療 再発又は難治性
本剤投与開始前及び増量前には心電図検査を行うこと。
寛解導入療法期及び地固め療法期は、薬剤投与中は定期的に(週1回を目安に)及び必要に応じて心電図検査を行うこと。
維持療法期は、投与開始後、増量後及び休薬後に投与を再開した後は、最初の2週間は週に1回を目安に、その後は必要に応じて心電図検査を行うこと。
本剤投与開始前及び増量前には心電図検査を行うこと。投与開始後、増量後及び休薬後に投与を再開した後は、定期的に(最初の2週間は週に1回、その後は月に1回を目安に)及び必要に応じて心電図検査を行うこと。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

一部改訂

改訂内容

QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:
先天性QT延長症候群等のQT間隔延長のおそれのある患者又はQT間隔延長の既往歴のある患者でQT間隔延長があらわれるおそれがある。

改訂箇所

[9.3肝機能障害患者]

一部改訂

改訂内容

重度の肝機能障害のある患者:
本剤は重度の肝機能障害を合併する患者(Child-Pugh分類C又は総ビリルビン値が正常値上限の3倍超)を対象とした臨床試験は実施していない。本剤の主たる消失経路は肝臓である。

改訂箇所

[9.4生殖能を有する者]

一部改訂

改訂内容

妊娠する可能性のある女性:
本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

パートナーが妊娠する可能性のある男性:
本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

改訂箇所

[10.2併用注意]

一部改訂

改訂内容

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強い又は中程度のCYP3A誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等)、セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。

改訂箇所

[11.1重大な副作用]

一部改訂

改訂内容

QT間隔延長、心停止、心室性不整脈(心室細動、Torsade de pointes)

感染症:
敗血症及び敗血症ショック、肺炎、上気道感染、菌血症、尿路感染、蜂巣炎等があらわれることがある。

改訂箇所

[11.2その他の副作用]

一部改訂

改訂内容

発現部位 副 作 用
精神神経系 味覚異常、頭痛
その他 無力症、食欲減退、低カリウム血症、発熱、低マグネシウム血症、体重減少、鼻出血、浮腫

改訂箇所

[15.1臨床使用に基づく情報]

削除

改訂内容

未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病患者を対象とした化学療法注)との併用による国際共同試験において、外国人患者で、心室細動、心停止及び突然死が発現したとの報告がある。
注) 寛解導入療法としてシタラビン+ダウノルビシン又はシタラビン+イダルビシン、地固め療法として高用量シタラビン

改訂箇所

[15.2非臨床試験に基づく情報]

一部改訂

改訂内容

細菌を用いた復帰突然変異試験において変異原性を示したが、トランスジェニックラットを用いた遺伝子突然変異試験では、臨床曝露量の4.4倍(Cmax)及び3.9倍(AUC)に相当する用量まで陰性であった

<参考> 効能又は効果、用法及び用量追加承認に伴う改訂

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