DRUG STAFETY UPDATE - 医薬品安全対策情報 -

2023年4月 No.316

ホリトロピンデルタ(遺伝子組換え)

  • 241 脳下垂体ホルモン剤

改訂箇所

[1.警告]

一部改訂

改訂内容

本剤を用いた不妊治療により、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。

改訂箇所

[2.禁忌]

追記

改訂内容

活動性の血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

一部改訂

改訂内容

本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、以下のモニタリングを実施すること。
・本剤投与中及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤(hCG等)投与前の超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定による卵巣反応

・患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等
・急激な体重増加
超音波検査等による卵巣腫大
なお、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子として、多嚢胞性卵巣症候群、若年、やせ、AMH高値、卵巣過剰刺激症候群の既往、血清エストラジオール高値、発育卵胞数の高値等が知られているので、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子を有する患者への対応は慎重に行うこと。
卵巣過剰刺激症候群の徴候が認められた場合には、本剤の投与中断などを行うとともに、 少なくとも4日間は性交を控えるように患者に指導すること。また、卵胞の最終成熟の延期や中止等の要否を含め実施中の不妊治療の継続の可否を慎重に判断すること。卵巣過剰刺激症候群は、本剤投与中だけではなく、本剤投与後に発現し、軽症又は中等症であっても急速に進行して重化することがあるため、本剤の最終投与後少なくとも2週間の経過観察を行い、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うことなお、卵巣過剰刺激症候群は、妊娠によって重症化し、長期化することがあることにも留意すること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

追記

改訂内容

患者に対しては、あらかじめ以下の点を説明すること。
・卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。

改訂箇所

[8.重要な基本的注意]

削除

改訂内容

卵胞発育刺激を受けた女性では、自然妊娠に比べて多胎妊娠の頻度が高くなる。多胎妊娠では単胎妊娠に比し、流・早産が多いこと、妊娠高血圧症候群などの合併症を起こしやすいこと、低出生体重児出生や奇形等のために周産期死亡率が高いことなどの異常が発生しやすいので、その旨をあらかじめ患者に説明すること。日本産科婦人科学会の調査によると、平成29年の新鮮胚又は凍結胚を用いた体外受精・胚移植の治療成績では、妊娠数79,137例中、双胎が2,434例(3.1%)、三胎が48例(0.1%)、四胎が0例(0%)であった。

改訂箇所

[9.1合併症・既往歴等のある患者]

一部改訂

改訂内容

本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者:
本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。

改訂箇所

[10.2併用注意]

新設

改訂内容

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
卵胞の最終成熟に使用する薬剤(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤等) 卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。 卵巣への過剰刺激に伴う過剰なエストロゲンにより、血管透過性が亢進される。

改訂箇所

[11.1重大な副作用]

一部改訂

改訂内容

卵巣過剰刺激症候群:
本剤を用いた不妊治療により、卵巣腫大、下腹部痛、下腹部緊迫感、腹水、胸水、呼吸困難を伴う卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあり、卵巣破裂、卵巣茎捻転、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症、肺水腫、腎不全等が認められることもある。本剤投与後に卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、重症度に応じて、本剤の投与中止、卵胞の最終成熟の延期や中止等の要否を含め、実施中の不妊治療の継続の可否を判断すること。また、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。重度の卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には直ちに本剤の投与を中止し、入院させて適切な処置を行うこと。

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